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セミナー「女性研究者ネットワークの推進に向けて ~日本アイ・ビー・エム株式会社 女性技術者コミュニティーCOSMOSに学ぶ~」を開催しました

セミナー会場

男女協働推進センターは平成29年9月1日付で、日本アイ・ビー・エム株式会社より、曽和信子 グローバルバンキングサービス事業部金融戦略プロジェクト理事と、梅田惠 人事 ダイバーシティ企画担当部長のお二人を、新たに招へい教授として迎えました。着任に伴い、9月5日(火)16:00~17:30に、吹田キャンパス生命科学図書館4階AVホールにて、曽和氏による標記のセミナーを開催し、男女協働推進センター会議の委員をはじめとする教員、職員、大学院生ら53名(うち女性39名)が参加しました。

 曽和信子氏  梅田惠氏

 

多数の技術系社員を擁する日本アイ・ビー・エムでは、技術系社員にも理事や役員レベルまでの昇進パスや、全世界のIBMに共通の評価基準による認定制度が用意され、上位職者によるメンタリングや技術者コミュニティーなどによる、技術者のキャリアパスを支援する仕組があります。そんな同社も経営危機の時代を迎えた折、経営戦略のひとつとしてダイバーシティ推進が始まったのだといいます。

全社横断的な女性技術者コミュニティーCOSMOSは2005年10月に発足。当初4年間の目標は女性技術リーダー(部長格以上)の比率を男性と同率となるように増やすことでした。女性技術者のスキルアップ、キャリアアップへの意欲を高め、支えるサポート体制とともに、キャリアパスの阻害要因(ロールモデルが少なく将来像が見えない、ワークライフバランスの実現が困難、男性のオールドボーイズネットワークに相当するものが女性にはない、管理職層に女性技術リーダー育成への意識が足りない)を解決するアクションを女性メンバーたちが企画実施し、ひとつひとつの成果を着実に積み重ねてきました。
COSMOSの2011年からの第5期メンバーであり、今年始まった第6期にはアドバイザーとして参画している曽和氏は、COSMOSが取り組んできた具体的なアクションを提示しつつ、「私たちはこのような活動を通じて、会社や組織のリーダーとしての貢献・成果を求められている」と述べました。数値目標とその達成も含むすべてのアクションと成果は、明確な経営的視点に裏付けられていることが理解できました。

そして、女性技術者の支援と育成において当初の目的を果たした近年のCOSMOSが、大学や海外女性技術者コミュニティー等との連携やアウトリーチ活動に取り組んでいることについて梅田氏が、「蓄積したノウハウや成果をひとりじめせず、いろいろな人に使ってもらうことがこれからのダイバーシティ」と説明し、COSMOSの活動が今、社会全体が豊かになるための新しい役割に取り組んでいることが紹介されました。大学における女性研究者の育成やネットワーキングに、多くの示唆を与えるお話でした。