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日経ウーマノミクスフォーラムシンポジウム『ダイバーシティ研究環境整備と女性研究者の未来』が開催されました

去る8月31日(金)10時~17時、グランキューブ大阪にて、日経ウーマノミクス・プロジェクト実行委員会が主催するシンポジウム『ダイバーシティ研究環境整備と女性研究者の未来』が開催され、大阪大学は協力校として参加しました。女性研究者がどのようなキャリアを積み研究リーダーになっていくのか、日本のダイバーシティの状況や理系のキャリアパスなど、大学や企業で活躍する研究者の基調講演やパネルディスカッションを通して、研究現場での女性活躍推進について考えるシンポジウムで、企業や自治体、大学関係者や理系への進学を検討する高校生など約500名が参加しました。

基調講演では、サントリーグローバルイノベーションセンター(株)研究部 主幹研究員で本年2月より本学のクロスアポイントメント制度により大阪大学大学院工学研究科 特任教授(常勤)に就任した福井祐子氏が登壇、「女性研究者としてのキャリアの築き方」をテーマに語られました。サントリーにおける女性活躍に向けた数々の推進策を示し、社内で活躍する女性マネージャーを紹介、その一人として自身のキャリアを紹介されました。入社から10年目は来る者拒まず何でもやりながら自分の技術領域を模索していたこと、10~20年目は青いバラの開発の経験で研究者として自信を得たこと、この時期に出会えた上司からの「論文が書けるような研究をやりとげなさい」という言葉がターニングポイントになったこと、20~30年目は特定保健用食品(トクホ)の商品開発から研究成果を商品化に繋げる意識とメンバー育成の重要性を認識、30年目以降はプロジェクトリーダーとして高い視座で研究と開発をつなぐ役割であると考え、常にお客様のことを考え、企業の研究者としての立場を貫くことで成長し続けることができたと語られました。現在はすべての女性に広い分野への門戸は開かれており、前を向いて続けていれば『やまない雨はない』という言葉を添えて、研究者をめざす若い世代に向けたメッセージを送り、講演は終了しました。

続いて行われた3つのパネルディスカッションでは、大学や企業において結婚、子育てを経てキャリアを築いてきた女性研究者が登壇し、様々なテーマで議論されました。パネルディスカッションⅠ「日本の科学技術とダイバーシティ」には、大阪大学大学院医学系研究科の江副幸子特任教授(常勤)がパネリストとして登壇、世界の状況に比べて日本の女性研究者の割合が遅々として進まない現状や、研究者がキャリアを積み上げる中で女性は男性に比べ様々なライフイベントの障害があり、日本の政府にとっても大きな問題であると指摘しました。多様性の考えや減少する労働人口に対し、女性活躍推進は喫緊の課題であり、ワークライフバランスをとりながら仕事を続けるためにどのような解決策が求められているのか、パネリストの経験を通して議論されました。パネリストたちは研究者を目指す若い世代に向けて「研究も子育ても楽しい!人生を倍楽しめる」「悩まずチャレンジしてほしい」「好きなことをして考えを発信すれば必ず共感する人がついてくる」と力強いメッセージを伝え、シンポジウムは盛況理に終了しました。

会場で行われたミニセミナーでは、大阪大学接合科学研究所の梅田純子准教授より「オモロイ阪大⁉~阪大リケジョのホンネ~」と題し、大阪大学をわかりやすく楽しく説明、続いて工学研究科博士前期課程1年(M1) 森下真衣さんと同2年(M2) 佐野萌さんが受験生の頃や大学生活、研究内容について映像とともに紹介しました。現役女子学生が語るホンネの大学生活は理系への進路を考える女子高校生にとって非常に興味深く、会場は大いに盛り上がりました。

閉会後の参加者交流会では、参加大学から1名ずつ女子学生がスピーチし、シンポジウムの感想や将来の決意などを語りました。大阪大学からは佐野萌さんが「先輩方のお話が聞けたことは貴重な機会であり、来年研究者として社会人となる私も、いつかこのような場所で話ができるように頑張りたい」と語り、次世代の女性研究者への期待とエールをこめた大きな拍手が贈られました。