NEWS & TOPICS

ダイバーシティセミナー「男女平等な職場づくりとアドバイス」を開催しました

平成29年10月23日(月)14:30~15:30に、吹田キャンパス生命科学図書館AVホールにて、米国サンフランシスコ市の女性の地位局長局長であるエミリー・ムラセ(村瀬)氏を講師に迎え、標記のセミナーを開催しました。参加者は48名(うち女性34名)。

 

ムラセ氏が女性の地位と権利を守るための専門組織「女性の地位局」の局長を務めるサンフランシスコ市は、1979年の国連総会で採択された「女子差別撤廃条約」を批准しない国のひとつである米国の中にあって、1988年に世界で初めて市として「女子差別撤廃条例サンフランシスコ法」を制定しました。ムラセ氏は同市の取組を、5つのポイントから紹介されました。

まず、米国でも18%の格差があると言われる男女間給与差の是正に向け、サンフランシスコでは前職までの給与額を雇用主が調査する「給与履歴要求」を禁止し、過去の給与差を正当化させない仕組を作りました。そして、米国では州ごとに制定され、平均50~70%程度の有給で取得できる産休・育休を、同市では2016年より、両親それぞれが100%有給で6週間取得できる制度と、低所得世帯への補助金給付や貧困層の子ども約5000人を対象に一人あたり250万円を援助する就学前教育援助金の制度を制定。セクシャルハラスメントについても、特別な窓口を設けて特殊化するのではなく、全体的な人事問題として人事部門の管轄と定め、年4回のレポートや対策プログラムの受講を義務化しています。また、DV被害者への支援として、地域で被害者支援を行う27のNPO団体へ約8億円を助成するとともに、公営住宅にカウンセラーを設置しています。

講演の後でムラセ氏は会場からの質疑に答え、米国やサンフランシスコ市での女性を取り巻く問題や取組についても様々な情報を提供されました。現市長であるエドウィン・リー氏が男女平等推進を優先政策事項と位置付けていることから、近年も積極的な施策を展開する同市ですが、負担の大きい保育料や保育施設のサービスが進まないことを背景に、米国でもワークキャリアを優先しない(できない)女性が増えているそうです。行政が取り組む女性支援を紹介した最後にムラセ氏は、職場の上司や管理職が女性スタッフと個々の目標を共有してキャリアパスを支援したり、新卒者や社会に出る前の少女たちを支援できる方法を考えることや、女性同士が気軽な「女子会」のような交流を通して助け合えるネットワークを持つなど、個人としてできることにも取り組んでほしい、と述べました。社会のダイバーシティ実現のために一人ひとりができることについても、学ぶことのできたセミナーでした。